RUNAWAY JURY


(2003年 アメリカ映画)

監督 : Gary Fleder
出演 : John Cusack, Rachel Weisz, Gene Hackman, Dustin Hoffman

陪審員による評決の問題がメインのように思える原題。実際、冒頭で銃撃事件のシーンがあっても、その後は裁判の進行が中心にあって物語が動き、主題は陪審裁判、銃の問題は素材という感じで進むのだが、最後の方に行くと、銃規制が主題だったのかと思わせる展開へ。テーマが複層的になっていることで中途半端になったと取る向きもあるかもしれないが、僕には見事に絡め合わせたと思えたね。以前、この映画が公開された頃、ダスティン・ホフマンがたしか来日して朝日のインタビューを受けて記事になり、その時の記憶だと、原作では違う題材だったものを、映画化の際に銃規制の問題に変えたんじゃなかったかな。そんな憶えがあります。

被告の銃製造企業側についた陪審コンサルタント役のジーン・ハックマンの演技が冴えてる。言わばヒールの名演。原告側の弁護士にはダスティン・ホフマン。そして謎の登場人物的に物語の舞台を回転させていくのが、ジョン・キューザックとレイチェル・ワイズ。

こういう題材を扱えるプロデューサーや監督や俳優がいるのは、まぁ羨ましいね。日本の社会状況に置き換えてコレと同等のテーマを扱うのは、けっこう容易でないと思います。日本社会が原因か、映画業界や俳優が原因か、そのどっちもか、はたまた民度か。そこまで言うと自虐的か。アメリカだって、民度民度と言えば、ねぇ。
ただし、アートとかエンタテイメントに関わる人間のレベルには違いを感じることが多い。その分野でのパワーにも、社会的なコミットメントの意識にも。

陪審裁判、ということでは、日本でもそのうち似たようなものが始まるよね。「裁判員」って言うんだっけ?
しっかし、なんで、あんなものを真似るような馬鹿げたことを日本はやっちゃうのかね…。

(2005年7月23日、記)