見張り塔からずっと


「ここから脱け出す道があるはずだが」
 ジョーカーが泥棒に言った
「混乱し過ぎて心休まる時が全くないんだ
 商売人は俺のワインを飲むし
 農夫は俺の土地を掘り返す
 結局境界線の奴らは誰もわかっちゃいないんだ
 そいつにどんな価値があるかってことをね」

「エキサイトする必要はないさ」
 泥棒が優しく言った
「ここには人生はジョークに過ぎないと感じてる奴ばかり
 だけどあんたと俺はそいつを通り抜けてきたし
 これは俺たちの運命じゃないのさ
 だから俺たちは間違わないことだ
 死期を迎える時は遅くなりつつあるんだよ」


見張り塔からずっと
君主たちは監視を続けた
そのあいだ女達はみんな入ったり出たり
裸足の召使達も同じだった
遠く彼方で山猫が唸り声をあげると
馬に乗った二人が近づいてきた
風も音を立て始めたぜ